デザインはEタイプを手がけ1970年に急死したマルコム・セイヤーズによるアイデアを元にしたものでした。風洞実験を繰り返した結果、リアウインドウの周りには特徴的なフィンが備えられることになり、これがXJ-Sの大きな特徴のひとつとなっています。

当初Eタイプからキャリーオーバーした5,344ccのV型１２気筒エンジンを搭載しました。後に3,590ccの直列６気筒DOHCエンジンが加えられ、それぞれ最終的には5,993ccと3,980ccに発展したのです。V12モデルが3速オートマチックトランスミッション（後に4速）および4速MTを搭載、直6モデルが4速オートマチックトランスミッションおよび5速MTを搭載しました。

シャシーはXJサルーンのものを使い、ホイールベースを2,590mmに切り詰めて作られました。したがってサスペンション形式はフロントにダブルウイッシュボーン、リヤにウイッシュボーン（ショックを左右それぞれに2本ずつ使う）を採用するという、XJと全く同じものとなっています。しかし、サスペンションチューニングは異なっており、ホイールベースの短縮ともあいまって、当然サルーンよりも運動性能は高められました。

1991年のマイナーチェンジ時に名称を「XJ-S」から「XJS」に変更しています。知っていました？

変更点としては多岐にわたるのですが、ボディパネルはおよそ40％が刷新され、生産効率が向上しました。ボディ形状はV12がクーペと現車と同じコンバーチブル、直6はクーペのみの発表でした。エンジンは直6が3,980ccに拡大され225ｐ/4,750rpm、38.3kgm/3,950rpmを発生しました。V12モデルがGM製GM400型3速オートマチックトランスミッションのみとされ3,980ccモデルのトランスミッションはZF製4HP24型4速電子制御ATまたはゲトラグ製5速MTとされました。外見上最も顕著に変化したのはテールの意匠で、特徴的であった三角形のテールランプは廃止され、スモークアウトされた横長のテールランプとなったのですね。（現車のリアランプご覧いただければと思います。）他にも排気量の大きくなったエンジンを収めるためにボンネット形状が改められたり、フロントグリルやサイドリアウィンドウの意匠が変わったりと、変更は多岐に渡っている。内装もそれまでと比べるとずっと豪華になり、メーター類のデザインもXJ40と同様のものに改められました。日本国内におけるモデルのシートは、V12が本皮シート、直6モデルはハーフレザーシートという設定でした。現車はコノリーレザーのシックなベージュカラーのシートとなりますね。質感もよくほんとに豪華です。