今回ご紹介するのは1954年式VWタイプ1 オーバルウインドウ・・・。
こだわりのビートルフリークのためのスペシャルです。
VWタイプ1は1938年に軍用車として量産型の製造がはじめられ、その後2003年までの生産で「累計生産台数2152万9464台」という車史上類を見ない傑作車です。
設計をしたのはフェルディナンド・ポルシェ博士。そしてその指示をしたのはかのアドルフ・ヒットラー・・。
さて、細かく車の説明をすると長くなりますので、さわりの部分を少しだけ。(これだけの名車ですからどうしても必要なところです。)
1933年にドイツの首相となったヒットラーに関しての評価はご存じのとおりです。が、ドイツの工業界や世界の車業界にとっては重要な財産と功績を残しました。
その功績というのが・アウトバーンの建設(今回は説明省きます) ・フォルクスワーゲンです。
首相に就任した1933年ベルリン国際自動車オートバイ・ショーでヒトラーは
- これから国の良し悪しは鉄道ではなく、道路の長さで決まる。
- 自動車が金持ちのものである限り、それは貧富を分ける道具にしかならない。
- 多くの国民のための移動手段であってこそ、車は文明の利器なのである。
- 我々は『国民のための車』を持つべきなのである。
と語りました。
ヒトラーはアウトバーン建設と同時に『国民が一家に一台車を持ち、週末にはドライブを楽しむことが保養になる。』という方針を打ち出したのです。これがフォルクスワーゲン(peoples
car=国民の車)計画です。
フォルクスワーゲンというのは国民の車という意味だったんですね。
そしてこの車の設計を依頼されたのがドイツ シュトゥットガルトに自動車設計とコンサルティングを行なう事務所を設立していた”フェルディナンド・ポルシェ博士です。
ヒトラーはカーマニアでしたから、自動車の知識が豊富で、いろいろと細かい部分までリクエストをしたようです。
その的確なリクエストや計画するにあたっての相談や質問はポルシェ博士を驚かせ、感心させたそうです。
・大人2人と子供3人、荷室がある小型車であること。
・燃費が良いこと(7Lの燃料で100km以上の走行)
・アウトバーンを高速走行できること(連続巡航速度100km/h以上 )
・車種シリーズは少なめで互換性が高いものであること
・1つのエンジンで、救急車にも偵察車にも大砲の重牽引車にも使えること
・丈夫で分解と修理、交換が容易な空冷式エンジンであること
・標準化を進め、車体の生産もエンジンの生産も単純化することが必要
そして計画の中でヒトラーが最もこだわったのは1000マルク以下という価格
当時どれだけ安い小型車であっても1500マルクはしていました。
こうした数多くの厳しいリクエストはポルシェ博士の「大衆向けの小型自動車をつくりたい。」というずっと描き続けてきた思いに、いっそう火をつけました。
ポルシェ博士のガレージには優秀な若手技術者が集められ、作業は始められました。
プロトタイプ完成を待たずに、再びベルリン国際自動車オートバイ・ショーの開会式で登壇したヒトラーは「優れた技術者、ポルシェ博士とそのスタッフの努力により、ドイツの国民車が誕生の運びになったのを喜びたい。」
「中型オートバイより安く、しかも燃費の良い小型車をドイツ国民に贈ることが、将来必ず可能になるものと信じている。」と国民に対して先行発表します。
そして、ポルシェ博士は計画開始から3年後の1936年に空冷リアエンジン、リア駆動のプロトタイプカーを完成させたのでした。
(このリアエンジン、リア駆動方式はビートル以外にもポルシェ356やポルシェ911(空冷エンジンは 993タイプまで続いた)に受け継がれています。)
しかしながら第二次世界大戦という混とんとした暗闇が世界を覆う中、ドイツにおける国民車構想もやむなくとん挫するのです。
戦中、戦後の占領下の紆余曲折の時代を経てようやくタイプ1は世に出ることになるのですが、その後の大成功は皆さんご承知のとおり。
特に最大の輸出先であるアメリカで絶大な支持を受けたことがフォルクスワーゲン社躍進の基礎となったのです。
日本では”ヤナセ”が1952年よりから取り扱いを開始。「寒冷時に急な往診があっても(暖機運転が必需であった当時の水冷エンジン車と違い)速やかにコールドスタートできる」「頑丈なドイツ製品」という実用性を伴ったキャラクターは開業医の間で好まれ、医師自らハンドルを握る「ドクターズカー」として使われる例が多かったようですね。このため、昭和30年代には「お医者さんの車」として一般大衆にも知られるようになりました。
さてこの子のご紹介です。1954年式オーバルウインドウ・フルレストア 12V仕様車両(ちょいカスタム・・・すぐ戻せるよう配慮済)
ボディーカラーは当時の純正のブルー(すごくきれいな色です)。
詳細は各欄に譲るとして、すごく気になる子です。
こだわりのVWマニアの方でしたら、とりあえず一度お手元においてもと思うのですがいかがでしょうかね。
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