◆どんな車
　１９６９年発売から４８年以上が経つＳ３０型フェアレディZは、アメリカをターゲットに開発され全世界で爆発的ヒットをし、日本経済を救ったとまで比喩されることがある車で、９年間販売された。
　スポーツカーとして気になるレース実績は国内外で輝かしく、アメリカSCCAプロダクションカー・レースで９年連続優勝、サファリラリーで１９７１年と７３年に優勝、日本グランプリGTで１９７１年と７２年に優勝している。

　　

◆現車の特徴と状態
　昭和５０年（１９７５年）式の現車は後期型。テールランプをブレーキ・ウィンカー・バックランプが一体になっている前期型に換装してあります。
　エンジンをＬ２８型に換装し、キャブレターにウェーバーの３連装、ステンレス製エキマニ（タコ足）でチューニングしてあります。トルクフルで扱いやすいエンジンに仕上がっています。また、この手のクラシックカーには珍しいクーラーを装備していますので、日中の暑い日でも純正の送風口より冷たい風が顔にあたり快適、また、電動パワーステアリングを後付けしてあり楽々ドライブできる仕様です。
　ボディから内装・エンジンに至るまで良く整備されており程度は良好です。これ以上のものを求めるとなるとフルレストアされた直後未使用の車輌を、エアコンの効いたガレージに保管されている車輌を探し出さないとならないでしょう。

☆昭和５０年式Ｓ３０フェアレディーＺ
☆ボディカラーは人気の「ホワイト」
☆２シーター
☆純正クーラー付き（吊り下げ式ではありません）
☆電動パワーステアリング装備
☆エンジンＬ２８（約４年前に換装）
☆キャブレターはウェーバーの３連装（４０φ）
☆ステンレス製エキゾーストマニホールド
☆縦デュアルマフラー
☆ＲＳワタナベ８スポークホイール
☆すこし車高を落としています（スプリングにて）
☆時計が作動しません

◆取材記
　Ｓ３０の取材と聞いて嬉しくなりました。というのも、記者は以前に１２年間ほど所有していたので、久しぶりに試乗できると思っていたからです。
　現車は後期型とのことでしたが、パッと見の外観は初期型の様相をしていました。しかも、サビも見当たらず綺麗。「これは程度が良い」というのが第一印象。ひと通り現車についてのレクチャーを受けると、なんとＬ２８にウェーバーを３連装し、純正クーラーが付いているとのこと。これまでに純正のクーラーを装備したＳ３０に出会ったことがありませんでしたのでビックリしました。
　走行と維持に必要になる各パーツは、ほとんど新しく交換してありますので、なんの心配もありません。

◆試乗記
　初めに助手席に乗せてもらいました。クーラーの効いた車内と、６気筒のまろやかで程好い排気の音色に快適性を満喫しながら、「実際に運転したら快適装備の無いＳ３０Ｚと比べたら乗り味が落ちるんだろうな。」と考えていました。
　そしていよいよ運転することになり、まず初めに感動したのはハンドルに遊びが無いことでした。通常この手の旧車ではステアリングセンター辺りに若干の遊びを感じるものです。ブッシュ類もしっかりと交換整備されていると云う事です。（パワステ装備の恩恵もあるとは思います。）
　クーラーを効かせた状態での走行でも、加速に何の不満も感じませんでした。（自身の所有した２４０Ｚより確実に早いです。）Ｌ２８をウェーバーできっちりチューニングしてあるので、絶対的なトルクで車体を軽々と加速させます。
　そしていつしか、純粋にドライビングを楽しんでいました。手にするハンドルがしっかりとした現代車の感覚を持たせてくれるし、胸のすくような加速で気分は上々！「これが４２年経っているＳ３０フェアレディＺなのか？信じられない。」と心の中で呟いていました。
　ノーマル然としていて、過度な改造も無く、速くて快適な理想のＳ３０フェアレディーＺに仕上がっています。

◆運転席の背もたれは前期型模様です

◆所有者さまからのメッセージ

　家庭の事情により車庫を空けなければならなくなりました。察して下さい。

　「クーラーが付いてて涼しく快適で、音もうるさくない、可愛らしい車。」と妻もお気に入りです。パワステ装備で本当に無理なく運転できていいと思います。

　　

　この形のフェアレディＺが一番好きです。こんなに綺麗な形をしている車は他を探して見ても、そんなには無いと思います。特に国産の物は近年では魅力を感じる車がありません。生産開始から４８年が経過していますので、これから先、このＳ３０型フェアレディーＺは簡単には手に入らなくなってくると思います。

　程度は良い方だと思いますので、大切にしてくださる方にお譲りできたらと思っております。