この当時のベンツは「最上か無か」という哲学の元、最高のクルマつくりをされてきました。
決して妥協することなくドア、ボンネットの遮蔽音、プラスチック部分の質感、シートの硬さ、シャーシ、エンジン、ボディーの作り、すべてにおいてメルセデスベンツの哲学を具現化したのです。
当時ベンツユーザーからのステーションワゴンモデルが欲しいという要望に答え、セダンモデルのW123から派生しました。
前モデルであるW114にも特装車としてステーションワゴンが存在したのですが、メルセデス自身の手によるステーションワゴンは、このモデルが初めてとなります。
ちなみにステーションワゴンは”T-モデル”と呼ばれました。
”T”は観光旅行(Travel)・輸送(Transport)の頭文字の”T”を表していようです。
基本構造はセダンと同一で、ワゴンの3分の2は、非対称分割タイプの折りたたみ式後部座席でした。
ラゲッジスペースは通常のポジションで523L、後部座席を折りたたむと879Lなのですがこれが見事に実用的で、今で言えばアウトドアでの使用などピッタリでしょうね。
またオプションで後ろ向きの2人掛け折り畳み座席が設置される7人乗り仕様を選択することが出来ました。これは次モデルのS124にも引き継がれたのですが、私も試しに乗り込んだことがあるのですが、これがかなり気恥ずかしい・・・・。そりゃそうですよね、後ろの車の運転手さんと常に目が合っているわけですから。まあエマージェンシー用ですかね。
またリアサスペンションには重い荷物を積んだとき車体を調節するレベライザー機構を備えていました。ハイドロニューマチックの簡素版みたいなもんですね。
発売当初は、230T、250T、280TEとディーゼルの240TDと300TDのラインナップでしたが、日本仕様は300TDのみが導入され、ガソリン車のラインアップはありませんでした。
1980年、200Tとターボディーゼルの300TDTが追加され、日本仕様は300TDTへと置き換えられました。
当時のウエスタン自動車(ヤナセ)からの正規輸入の”Tモデル”は300台ほどと言われています。
(今回ご紹介する個体は貴重な正規輸入の300TDTとなります。)
前述の通り正規ではディーゼル仕様しか日本に導入されず、(並行ではガソリン仕様も存在いたします)近年の排気ガス規制で自治体によっては登録することが出来なくなり、ショップでエンジンスワップされた個体も多いようです。
それにしてもかっこいい。オシャレに決めてちょっとそこまで・・・。
そんな使い方が最高です。
現在18万キロではありますが、世間には100万キロを乗った個体もあるようです。要するに愛情をかけてあげれば一生ものの相棒との出会いということなのでしょう。
ps 車検証上の年式は昭和61年式。基本的にはS123はドイツ本国で1985年まで製造されましたので最終ロッドの1986年日本国内登録の個体となります。
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