プロトタイプのS360から始まる水冷直列4気筒DOHCエンジンは精密機械と称されます。
ホンダとして初めての市販モデルであるS500に搭載されたエンジンは、アルミ合金製の4気筒DOHCで、 1気筒当たり2バルブ方式、3個のメインベアリングを採用。半球形燃焼室を持ち、 インテークとエキゾーストポートが独立した設計で、まさにレーシングエンジンそのもののレイアウトでした。
このAS280型エンジンは、ボア54mm×ストローク58mmで、排気量は531cc。ロングストロークながら、 各気筒ごとに京浜製CVB型キャブを装着し、最高出力44ps/8000rpm、最大トルク4.6kg/4500rpmを発揮。 軽々と8000rpm以上まで回り、耐久、信頼性も抜群でした。もちろんそれまでに培ったオートバイエンジンからの 技術の蓄積があったからこそのたまものです。このS500は発売からわずか3カ月で今回ご紹介するS600へと進化します。 これはモアパワーの要望に応えたもので、車名通り排気量を606ccに拡大し、57 ps/8500rpmの最高出力を獲得。 換算するとAS285E型は、94ps/Lというハイチューンユニットとなっているのです。 ちなみに、1966年に登場するS800に搭載されたAS800E型は、791ccに排気量がアップされ、
70 ps/8000rpmで、換算すると88ps/L。いかにS600がハイチューンだったかが分かります。
この子のエンジンルームは生のままといいますが特別エンジンを下ろして塗装しているわけではありませんので、
往時の姿をいい感じで残しています。
もちろん十分整備は尽くされていますので、基本的に走る、止まる、曲がるの3要素は問題ありません。
チェーン駆動の乗り心地を堪能しつつワインディングにでも連れ出してくださいな。
先にも述べましたが飾っておくより相棒としてそこかしこに連れ出していただけたらと思います。
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