◆どんな車
　サニーは１９６６年から２００４年まで製造・販売していた自動車（大衆車）。昭和４１年に誕生したダットサン・サニーは当初２ドアセダンボディタイプで、グレードはデラックスとスタンダードの３速コラムシフトのみというシンプルなもので、発売以来５か月で３万台を上回る販売実績を記録し、「マイカー元年」として本格的な大衆車市場の中心を占めることになる。
以後ユーザーの嗜好に応じて、モデルチェンジとバリエーション追加をし、昭和４２年には４ドア車、４速フロアシフトのスポーツ車、ＡＴ車と追加し、４３年にはファストバックスタイルのサニークーペを発表した。

◆現車の特徴と状態
　現車は走行距離がわずか１万２千キロほどの登録「５ナンバー」のシングルナンバープレートが装着されているオリジナル状態を維持した未再生の初代ダットサン・サニーで、ビンテージの感覚を放つ車輌です。昭和４０年代の製鉄技術はまだ未熟。小型車に使われた鉄板は油断するとすぐに腐食します。これらを勘案すると現車の保管は常に密閉された空間であったことがうかがえる年代物の希少品です。
　４ドアセダンのデラックスで４速フロアシフトを持つスポーツグレードです。ボディ関係のレストアはしていませんが、走行距離１１，２００ｋｍでエンジンについては経年劣化を考慮してクランクシャフトオイルシール（フロント・リア）、ロッカーカバーパッキン、オイルパンシールパッキン、オイルフィラーキャップパッキン等の交換を実施しています。
　余談ですが、オリジナルのままのこの車輌は、昭和の当時を描く映画でバックグランドに登場するなどしたこともあるプレミアム車輌でもあります。
　スペックは水冷直４ＯＨＶのＡ１０型エンジンに横向可変ベンチェリ形キャブレター装着で５６ｐｓ／７．７ｋｇｍ。６６０ｋｇの軽量車輌は最小回転半径４．０ｍと小回りが効きます。

☆ボディ色はサンシェードブルー
☆ラジエターコアブロック切換えリペア（Ｈ２５）
☆ラジエターホース類交換
☆クラッチＡｓｓｙ交換（Ｈ２７．１０）
☆８トラデッキ良好
☆タイヤ８分山
☆リアフェンダー後部に傷補修跡・運転座席面に割れがあります
☆ヒーターつまみ無し（プラスチック製で割れて使えなくなりました）
☆他オプション装備は取材記【１】に記載

◆取材記【１】
　本格的大衆車輌の先駆けとなったサニーですが、名前にダットサンが入っています。この名前には明治の男達のロマンを今に伝える物語があるのです。日産の創業者である鮎川義介氏もその一人です。一度この物語に触れて見てください。もっと日本を好きになるはずです。

　昭和の当時、２ドアセダン・クーペと比べたら４ドアセダンは贅沢で生産するのにお金のかかる物でした。現車はデラックスのスポーツグレードにオプションをたくさん付けています。

☆タコメーター＆時計
☆フォグランプ
☆ネオンコントローラー（サイドポール）
☆サイド（ドア）バイザー
☆ハンドルカバー（皮）
☆ウィンドウォッシャー
☆マフラーカッター
☆ヘッドレスト
☆ライセンスプレートリム
☆バンパーガード
☆ウッドシフトノブ
☆サンシェイド（ブルー）

◆取材記【２】
　古いナンバープレートが付いたままの車輌が目の前にあるのだが、艶のある状態で不思議な感覚でした。日本でも「ヨーロッパにある、自国の製品をいつまでも大切にし、後世に伝える気持ち」を持つ人達にスポットライトが当たり始めていると直感しました。
　エンジンの始動は難しさを感じませんでした。チョークを引く作業も旧車ならではのもの。エンジンサウンドは１０００ｃｃ特有の軽やかでありながらまろやかさを伴なう心地好いもので、近年の車では味わえない独特の物でした。

　試乗の直前まで大排気量のＣＶＴ車を運転していたので、麻痺した感覚で、その落差に車の素性を取り逃がさないようにと注意していたのですが、走り始めると…、「おやっ！軽やかでスポーティだ。加速感も強いし、コーナーリングもヒラヒラとこなしてる。」と、その角ばったおとなし目のルックスに騙されていたことを感じました。

　初代のダットサン・サニーは高橋国光・北野元などの名ドライバーがハンドルを取り、オーストリアの５００マイルレースやマレーシアGPで優勝、また全日本選手権の鈴鹿サーキットで活躍するなど、素性の良さを示しています。
　ノンサーボのブレーキタッチはダイレクトでドライビングに花を添え、６６０ｋｇという軽い車体は１０００ｃｃでも強い加速感と軽快なハンドリングを体感させてくれました。そして、エキゾーストノートはむかし懐かしい特有のサウンドで高揚感を掻き立てるものでした。それがビンテージ感覚の車輌で、なんの心配も無く味わえるのですから凄いことです。

◆所有者さまからのメッセージ
　この車を手にすることになったのは偶然の事でした。他車種のクラシックカーを見に行った先の工場に、このダットサン・サニーの初代オーナーが維持が難しくなったと預けていたのです。これだけ古い年代物の車がレストアもなしにこの状態で維持されていたことに感動して譲って頂くことにしたのです。

　それなのに私の方も所有台数が増えたことと生活スタイルの方向転換により、車輌維持が難しくなってきたので手放す決心をしました。

　未再生でビンテージ感覚を放つ車輌だと思います。ナンバープレートがシングルナンバー登録であるのも魅力です。これから先、エンジンルームなども磨いたりすればより一層所有感を満たしてくれることと思います。大切にしてくださる方に譲れたら嬉しいです。（状態維持のために定期的に動かしますので走行距離が少し伸びることをご了承ください。）