イギリスが世界に誇るバイクメーカー、トライアンフモーターサイクル。

誕生から現在に至るまでの軌跡を追うと、実に130年もの長い歴史を持っていることが分かります。そのため、トライアンフ・ファンの中には、「ハーレーダビッドソンよりも古く、また由緒正しいメーカーだ」と、声高に叫ぶ人も存在します。確かにそうした見方も出来るのですが、一方で、トライアンフが歩んできた道程は波瀾に満ち、紆余曲折を経て今があるという事実も忘れてはいけません。

幾度にも渡る経営者の交代、会社の倒産、そして復活。こうした流れの中で不死鳥のごとく蘇ってきたトライアンフなのです。

またいつか1885年に誕生してからの歴史はご紹介したいと思いますが、今回はずっと年を経て誕生したボンネビルのお話です。

さて1959年、トライアンフの堂々たるフラッグシップ・モデルが登場しました。その名は『T120ボンネビル』。トランスミッション別体式の”プレユニット”で、排気量650ccの2気筒エンジンは、『T110』のエンジンをベースに改良したものでした。アルミのシリンダーヘッドにツインキャブレターをセットし、ハイカムやスリックシフトなど、かなりレーシーな市販車となっていました。

1962年時に時速361ｋｍを達成時の貴重な画像

1955年時にに時速310kmの当時の世界記録を 樹立したストリームライナー

トライアンフ史上最も成功したこのモデルの名は、最高速度記録挑戦が行われる、ボンネビル・ソルトフラッツにちなんで命名されたのですね。

そしてT120はあのエドワード・ターナーがトライアンフ在籍中に生み出した、最後のモデルでもありました。

さて現車のご紹介です。
私自身現車を拝見してその美しさと存在感に”びっくり　ポン”でしたが、オーナー様から直接ご紹介頂戴していますので下記に記載させていただきますね。

　

1962年製　走行距離：8667マイル　車検：平成29年8月

1956年、アメリカのユタ州ボンネビルで、時速120マイルという新記録を打ち立てた有名なトライアンフ社製バイクが名前の由来。ミッション別体式の最後年生産車です。翌年からエンジンとミッションが一体となり、ユニットエンジンと呼ばれる型式になりました。シンプルでスリムなデザインの貴重な旧・英車です。メカ好きにとっては、シリンダまわりを眺めているだけで癒されます。旧車でも、トライアンフはパーツが容易にかつ安価に入手できますから、維持しやすいバイクと言えます。

　旧車と言えど、バーチカルツイン特有の弾けるような軽快な排気音で、高速道路を、峠を、しなやかに走り抜けます。眺めてよし、いじってよし、乗ってよし、そしてパーキングでは注目され声を掛けられ撮影を請われます。大人の、品格ある英車です。

現車は、大切に乗り継がれてきた、グレーと水色の大変美しい個体です。油洩れはほとんどありません。9本スタッドの丈夫なシリンダヘッド。タペットケースはオリジナルです。マグネットは信頼性のあるＢＴＨ製に換装しています。メーターはもちろんクロノマチック。旧車は構造がシンプルなので、手入れがしやすく、トラブルはほとんどありません。キックは少々重いです。クラッチレバーはとても軽く作動します。タイヤは9分です。

市場に出ない貴重なバイク、いつまでも価値の下がらない正にお宝と言えるバイクです。

サイドバックと少々の部品をお付けします。

先日同じオーナー様の元からセイヤーを通じて嫁に出したＷ3です。この個体も実に美しかったですね。 きっと大事にしていただけることでしょう。

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