見ての通りピカピカの１９８０年式のＦＬＨ１２００をフルカスタムしたハーレーダビッドソンです。１２００ｃｃのビッグツインエンジンは、力強い鼓動と美しい造形が人気の、いわゆるショベルヘッドエンジンです。また、この年式のものは軽量でコンパクトなオルタネーターが採用されカムギヤケースが５角形をしているタイプで、コーンショベルと呼ばれています。そして、１２００ｃｃのショベルは、この１９８０年式が最終型となります。(一番新しい１２００のショベルとも言い換えられますので、ショベルの中では一番信頼できると言う事でしょうか。）

　カスタムについては専門的な知識を持ちませんので取材者にはさっぱりですが、分かる人には分かるのでしょう。パーツのメーカーなどは不明。分かり易いディテールを説明しますと、まずは一目瞭然でFLH独特のあの大きな分割タイプ燃料タンクが交換されてます。それと、フレームがリジット化されて全体がスッキリと仕上がっています。また、特徴的なのはフロントフォークがスプリンガータイプに交換されており、クラシカルな雰囲気が一層増しています。

　このショベル フルカスタムを唯一無二の物たらしめているのは、フロントスプリングヘッドと絶妙の高さに位置するハンドルと、また絶妙な大きさのヘッドライトが上げられます。それと、定番の皮張りシートにマッチする、リアフェンダーに載るメッキが輝くキャリアと一体化したシーシーバーで、完成されています。他は下記に記しておきますが、写真の通りです。

☆クラッチは左ハンドル部分から左足踏み式に交換
☆シフトレバーはジョッキーシフト式に交換
☆キックペダル交換（セルスターターレス）
☆マフラー交換
☆ストップランプ・ウィンカー・バックミラー交換
☆ステップ交換
☆キャブクリーナーボックス交換
☆スピードメーター交換
☆オイルタンク交換
☆プラグコード交換
☆サドルバック装着
☆プライマリーケース剥装（オープンプライマリー化）
☆プライマリーベルトガード装着

　クラシックハーレーは色々と難しいものだと思っておりましたが、取材させて頂いたハーレーは非常に綺麗にしていたので安心しました。よく見かけるクラシックハーレーは、結構使い込まれた感が強いものや、方置されている期間が長いような個体が多いような気がして、腰が引けてしまうのです。

　現車は土足厳禁の観賞用ガレージ保管で、紫外線や湿気から守られているので、カスタムしてからの劣化がほとんど見られない状態でした。そして、写真を見てもらえば同感してもらえると思いますが、フルカスタムなのでベースのモデルが何なのかさっぱり分かりませんでした。

　フレーム及びエンジンに車台番号が刻印されており、マッチングを確認。車検証上も同じで、車名がハーレーダビッドソンと記載されている車輌です。

　このショベル フルカスタムを見たときに感じたのは、「カッコイイ…、所有するだけで相当の満足感を味わえるハーレーだ。」というものでした。

　バイク乗りだった自分が学生時代にバイトした先の店長が「永ちゃん」の大ファンという事もあり、「キャロル」のメンバーが集団でバイクで走る最高にカッコいいビデオを見せられ、さらに「クールス」のメンバーがバイクで走る姿を追加で見せられたのを思い起こします。このショベル フルカスタムは、そんな、バイクに乗ることが自由の象徴であり、意志の強いクールでカッコいいアウトローを表現できた、７０年代のバイク乗りをそのまま体現できる一台で、現代において強い個性を放ちます。

　１９８０年式のハーレーダビッドソンショベル フルカスタムです。リジットフレームで全体が低いシルエットにまとまっているのが最高にクールだと思います。普段は室内保管で、古い空冷大排気量エンジンの劣化を防ぐため負担となる夏の高気温時は乗っておりません。

　ジョッキーシフトは古いフルカスタムハーレーには良く似合っていて、４輪自動車のようにクラッチを踏んでシフトを左手で操作する姿は絵になると思います。

　エンジンオイルを２０００ｋｍ、オイルフィルターは４０００ｋｍごとに交換してきました。また最近は、リアのブレーキパッド（グリメカ）交換、フロントタイヤ（エイボン）を交換、キャブレターの清掃をしています。また、このショベルフルカスタムのイメージを決めるヘッドライトとハンドルは新しくを換して間もないです。
　フレームとエンジンに刻印されている番号は一致していて、素性は確定できていますので、それについては安心できると思います。

　風を全身に受けて走れば、心が解き放たれ自由になれます。大事にしてきましたので心が揺れますが、年齢的にきつく感じるようになったので手放します。